前回の出来事
猫にがぶりと食べられましたとさ☆

おしま…

ちゃんとしなさい!
改めて。
コンビニを出て歩き進めたあきらとNavi。
山の方向へ向かう途中吸い込まれるように向かった大きな民家の敷地内、どこに向かうか悩んで踏み入れた庭は四季が全て詰まったような美しい場所。
不思議な感覚と美しさから逃げるように向かうのは離れ。
探索をしながら奥に進むと、そこに居たのは大きな化け猫。
そのモッフモフの毛に顔を埋めて猫吸いできるはずもなく…頭からがぶりといかれたあきらは、再びバス停へと舞い戻っていた。
前回の探検を知りたい人はこの道を曲がってね
また、立て看板がある


この看板、もしかして村人の数より多いとかある?

さすがにそんなことはないでしょ…多分
再びあの道を▶︎北へ向かう
僕の運命数は3、そしてバイオリズム数は24。
どこか見覚えのあるようなT字路の前に立ち左右を見る。

ねぇどっちにいく?

南は…なんか嫌だから
北に行こうか
僕は緩やかな坂道を見上げる。
リュックを持ち直し、しばらく北へ北へ坂を登っていくと道は左にカーブしているのが見えた。
これ以上は真っ直ぐいけない…僕は左に曲がるしかなかった。
道に沿って角を曲がった少し先、ふんわりと灯りが見える。
足を止めてじっと見つめると、まるで心霊写真に映るオーブのように小さな光がふわふわと浮いていた。

あきら、なんか光ってるよ?

見にいってみよう?
僕はカメラを両手で構えて近づいた。
近づくにつれ、それがただの光じゃないことに気づく。
大小合わせて10個ほどの火の玉。
それが左右上下に動く度にまるで尻尾を揺らすように炎が筋を描いて飛んでいる。
第5妖怪発見▶︎妖怪ヤブレガサ
慌てて草むらに身を隠し、僕はビデオカメラを回した。
カメラを通してみると火の玉は、何かを取り囲んでいることがわかった。
中心の何かが上下に揺れる度、火の玉も高さを合わせるように上へ下へと動き続ける。
そしてその中央にいる何かは確実にこちらに向かってきていた。

な、なんか来てるよあれ…!

なんだろうあれ…。
なんていうか…傘、みたいな…

雨降ってないのに?
この距離からではわからない。
その得体の知れない物体がさらにこちらに来るのを待って、ようやく理解した。
焦茶色に変色し、埃を被った番傘。
紙は破れ、骨組みがところどころ見えているそこには、1つの大きな目があった。
時折瞬きをしながら眼球が左右に動いているのがカメラ越しじゃなくてもわかる。
大きな目の下には大きな口…そこから伸びる赤く長い舌も左右に揺れている。
さらには傘の柄の部分は男の足だった。
お世辞にも綺麗とは言えない…しかも下駄まで履いている。

うっわ…すね毛生えてる……

あの足に脱毛ワックス塗って
一気に引き剥がしてみたいね

さすがの妖怪でも大泣きしそうな
罰ゲームすぎない?
流石に可哀想すぎる内容に肩を竦めながら近づく姿を見つめて考える。
あの見た目、本で見たことがある。


あいつ…ヤブレガサだ!

カラカサお化けとか、カラカサ小僧じゃなくて?

た、多分どれも同じじゃない?
ともかく…こんなにも近い上に、僕は今カメラを回しているんだ!
これは大チャンスに違いない!
このまま撮り続けて…気付かれないだろうか?
息を殺し、気付かれないように祈りながらレンズ越しの姿を見続ける。
カツン、カツン…と下駄を鳴らし、火の玉を引き連れたヤブレガサは草むらには目も向けず通り過ぎていった。
下駄の音も遠くなり姿も見えなくなってからカメラを下ろした。

と…撮れた…

正直、手の震えが止まらない。
本当に撮れたという感動と気付かれないだろうかという恐怖が入り混じり、自然と呼吸も浅くなる。
一度大きく深呼吸をしてから、僕は草むらを出て西へと向かって歩き出した。

ビデオカメラ、無くさないようにね

大丈夫だって!
肩からかけてるのに無くさないよ!
そう笑ってしばらく歩くと南北に伸びる三叉路へ出た。
道の脇には堀割り、その土手沿いには柳が並んでいる。
風にゆれ、柳の葉がカサカサと音を立てて不安を掻き立てていく。
こんなにも暗くて、周りだってこんなに荒れているのに、なぜかこの柳だけはずっと大切に育てられているように生き生きとしていた。

わぁ、お堀もすごいね
なんていうか…時代劇の中みたい

確かに…なんか時代劇に出てくる
城下町って感じ
もしかしたらどこかにお城でもあるのかもね、なんて呟きながら僕は左右の道を見る。
北へ行くか、南へ行くか…どっちにしても不気味なのは確かだった。
第6妖怪発見▶︎妖怪のっぺらぼう

さっきは北に向かったから次は南に行ってみようよ
そう言って僕は堀に沿って左手へ曲がった。
堀の作りを横目に歩いていると、大きな柳の下で誰かが蹲っているのが見えた。
僕は足を止めて息を飲む。
風に乗って聞こえるのは啜り泣くような声。
よく見ると、その誰かは着物を着た女性だった。
金や珊瑚の簪をつけた頭は時代劇で見るような結い方をしていて、いくら出せば買えるのかと気になるような色鮮やかな振袖を着ている。

大丈夫かなあのお姉さん

泣いてるみたい…
何かあったのかも知れないよ
僕は一応警戒しながら女性へと近づいた。
距離が詰まれば詰まるほど、啜り泣く声はハッキリとしている。
彼氏に振られたのか、それとも旦那に浮気されたのか、大切なものを無くしてしまったのか…色々な予測を立てながら僕は女性の肩をポンと叩いた。

あの、大丈夫ですか…?
そう声をかけ様子を伺うと、女性は不意に泣くのをやめて顔を上げた。
ゆっくりと向けられた顔が月明かりに照らされて露わになる。
目も鼻も口もない…艶やかなその肌の上には何もない。
僕は息を飲むことしかできなかった。


の、っ……!!

のっぺらぼう…!?
大きな声を出しそうになり、慌てて口を押さえる。
ただ顔のパーツがないだけで綺麗な人には違いない、本来ならそのはずだ!
戦いたくない…相手が好戦的なわけでもないのに女性に手は出したくない。
(だが、ろくろっ首、てめぇはだめだ!!)
―なら…!
僕は肩にかけていたカメラを両手に持った。
お願いです!出演してくれませんか!
話せばわかる、そう思った僕は目のない相手の前へカメラを見えるように持ち上げた。

あの!
僕はテレビ局から来た者なんですがノッペラボウさんですよね!
美しいお着物!!美しい髪飾りにその美しいたまご肌!
ひと目見てすぐわかりましたよ!
お願いします、テレビに出演してくれませんか!
満面の笑みを浮かべ、賭けに出た。
OKしてくれるならラッキー、NGならそれは仕方ないと思っていたが、ノッペラボウは僕の勢いにきょとんとしていた。
顔のパーツがなくてもわかる、どう見たって「え…この人間、驚いてないんだけど…ってか何言ってんの?」って顔をしている。

お願いです、どうか出演を…!
もうひと押しと思い、顔を寄せてみるとノッペラボウは首を横に振って袖で顔を隠してしまった。
そして立ち上がったかと思えば堀を飛び越えて草むらの中へと逃げていく。

あきら!
早くカメラカメラ!!
あの着物姿であの身のこなし…さすがは妖怪…恐るべし。
僕は慌ててカメラを構え、その後ろ姿を撮ることに成功した。


と…撮れた!

ノッペラボウって、恥ずかしがり屋なのかな?
照れ屋だろうと恥ずかしがり屋だろうと、僕にとって撮れればそれでいい。
幸先がいい…!!と自らの運の良さにニンマリと笑いながら僕は次に向かうべき方向を考えた。
来た道を戻って北へ向かうか、このまま南へ向かうか…。

とりあえず、南に行こっか
お堀に沿って歩き進めると道は緩くカーブを描き東へと折れていた。
僕は道なりに進み、細い砂利道を歩く。
どこかで見た光景▶︎草むらで待機
砂利道を歩くと、少しだけ頭が重くなった。
前にも歩いた気がする…なぜかこの道を知っている気がした。

実家の近所に似てんのかな
そんなことを思いながら歩き進めていると、前から誰かが歩いてきた。
同じように砂利道を歩く石の擦れる音が鼓膜を揺らす。
目の前から歩いてくるのは女性だった。
縦縞の着物…大正ロマン風の…若い、女性…。

あきら、こっち!
Naviに腕を引かれ僕は草むらへと隠れた。
カメラを構える暇もなく、草むらで息を殺しながら過ぎ去るのを待てばいつの間にか女性は消えていた。

ねぇNavi、今の人…
正直、気になった。
これが恐怖故に気になったのか、それとも違う理由で気になったのかはわからなかったが、僕は草むらから出て小さく息を吐く。

やっぱり、なんでもない。
来た道を戻ってお掘沿いを北に行くか、それとも東へ向かってみるか…。
いつか来たような道▶︎南へ

少し歩くと、南北に分かれる道に出た。
左右を見て道を確認すると、どこか見た光景のようだった。

あれ?これってバス停から真っ直ぐ来たところの…。

そうだね
ぐるっと回ったのかな?
周囲をもう一度確認して、僕は迷わず南へと向かう。
道を曲がり、しばらく歩くと低い雄叫びが響いた。

あれ…今のって…

あきら気を付けて
この先にいるよ
違和感を覚えながらも僕はカメラを握りしめて声のする方へと向かう。
知ってる…知ってるような気がする。
そんなことを考えながら声の主たちへ近づくと、そこに居たのは落武者だった。
目の前に出てきた落武者を見つめ、僕は息をのむ。

…平和的、解決…。
何故か、話せばわかると思っている僕がいた。
僕はビデオを撮らせて欲しいというが、落武者達はダメだという。
この先に行かせて欲しいと言っても、彼らはダメだと口にした。

ね、あきら。
ダメって言ってるからさ?
さっき来た道に…。

ダメなら…押し通るまで!
Naviの提案を振り切り、僕は戦うと決めた。
歴戦の猛者vs一般人の戦いの果てには…
怪我をしてボロボロだと言っても相手は歴戦の猛者。
戦場という修羅場を潜りぬけてきた武士だ。
だからと言って僕だって負けられない…負けたくない。
振り下ろされる刃の軌道を読みながら寸のところで躱し続け、持っていたリュックを振り回して落武者の1人の顔面へ叩きつけた。
倒れたその手から刀を奪い取り、両手で構える。
漫画やアニメで見た持ち方の見様見真似だったが、傷だらけの武士と無傷の僕では同じ得物を持った瞬間に立場が逆転していた。
やられてたまるものかと、握った刀を振り下ろす。
何度も振り翳しながら次第に僕は狂気に飲まれていた。
最後の1人が倒れたのを見つめ、僕は溢れ出すアドレナリンを制御しきれずにいる。
目を見開き、血の滴る刀を握りしめたまま生き延びたこと、そして僕よりも実力が遥かに上であろう武士を切り伏せた事への自己満足に浸っていた。

勝った…勝った!
僕…侍に、武士に…!!
勝った、んだ…っはは…
風の音も、足元の血溜まりに鋒から滴る血が跳ねる音も、何も聞こえない。
ー愚か者め
最後の1人と目が合った気がする。
まるでこれからの僕の不吉な未来を悲しみ嘲り、憐れむように…何かを言った気がする。
でも僕はもう、そんな声に耳を貸さなかった。

僕は…勝ったんだ…勝ったのに
なんだろ…この胸騒ぎ…
狂気と共にどこに向かうのか…次回に続く
今回出会った妖怪はこの2人!
・ヤブレガサ
・ノッペラボウ

ノッペラボウさん
恥ずかしがり屋でかわいかったね!

わっかる~!
ノッペラボウって言えば…僕はジブリ作品の【平成狸合戦ぽんぽこ】に出てくるノッペラボウが印象強いんだよね

あれでしょ?ノッペラボ〜!って
顔があったのに急にパーツが消えて
脅かしてくるシーン!
声も相まって少し怖かったなぁ

めっちゃバブリ〜って感じのお姉さんだけど実はたぬきが変化してたんだよね
まぁ作中の時代が時代なのか
僕は今回初めて【ヤブレガサ】って名前を聞いたけど、正式名称がそれなのか…それとも「カラカサお化け」や「カラカサ小僧」が正式名称なのか。
もしかしたら方言のように地方によって妖怪の呼び名も変わったりするかも?
あと何でヤブレガサの足っておっさんの足なのかが不思議でたまらない。
もし現代版ヤブレガサがいるならどんな見た目か。

傘の部分は派手なデザインで。
脱毛されたツルッツルピッカピカの足が生えてて…

カラコンしてて目が大きくて。
さらにアイラインとアイシャドウ塗りまくりつけまつ毛バッチバチ!
そんなギャルメイクしてても違和感ないかもしれない
ヤブレカサという妖怪が生み出されてどれくらい経つか…時代の流れによって妖怪の見た目が変わったっていいじゃない。
目がキュルンキュルンのギャルメイクヤブレガサがいたっていいじゃない!

ってところで、今回はここまで!
最後まで読んでくれてありがとう!
果たしてあきらは正気を保って進めるのか?
次回の探検にも乞うご期待!

僕は…いつだって正気だよ…大丈夫
武士に勝ったんだ…
他の妖怪にも負ける気がしないよ
よかったら、前回の記事や別の惑星も巡ってみてね♪




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